実験講座 番外編 アメリカ カリフォルニアで見た多様な鳥たち

今回はアメリカ カリフォルニア州にて、目に留まった鳥たちを紹介しよう。筆者が滞在しているシリコンバレー界隈は、サンフランシスコ市内を代表とするようなオフィスビルが多いものの、郊外に行くとたくさんの自然があって、州立公園や国定公園だけでなく、身近なところでも多様な鳥たちを見ることができる。

House Finch(スズメの仲間)

筆者が滞在しているCalifornia州San Mateo市の自宅の敷地内にて日本のスズメにサイズや形がよく似ている鳥を見つけた。写真からHouse finchと呼ばれる鳥であることがわかった。参考URLに上げたようにAll About BirdsのWEBページにて、アメリカで見ることができるほとんどの鳥の生息地、種類、サイズなどの詳細情報があげられている。House finchは写真のようにオスだけが頭から上半身にかけてうすく赤い色の毛をもっていて、メスは全く赤い色がない。この鳥は基本的に北米の比較的暖かいところでのみ生息しているようだ。これらの写真は春先に、オスとメスが追いかけっこをしたり、鳴き声でコミュニケーションをとったりしていたときの様子である。

 

次に筆者の通う研究所、SRI InternationalのMenlo Parkキャンパス内のオフィスの窓の外側に招かれざる客が来たので写真を撮って種類を特定してみた。窓枠に巣をつくった蜘蛛を狙っていたようでコツコツと窓をつついていた。この頭に赤い帽子をかぶったような鳥は、Acorn Woodpecker(キツツキの仲間)と呼ばれる鳥で、カリフォルニア州および北米南部に生息し、昆虫や蜘蛛、ドングリを食する。右の写真のようにこのキツツキは自分のくちばしであけた穴にドングリを貯める習慣があり、一つの樹に千個近くもドングリを貯めることがあるようだ。カリフォルニアでは、このように穴に埋められドングリだらけの樹をよく見かけることができる。


Acorn Woodpecker(キツツキの仲間)筆者撮影

 


Wikipediaより(JohnathによるCC BY-SA 3.0)

 

次に北米からカナダにかけて広く生息するCanada Goose(カナダガン)を紹介しよう。自宅周りを春ごろに散歩をしていたら、写真のように5、6羽のヒヨコたちを連れた家族のガンをよく見かけることができた。


Canada Goose(雁の仲間)筆者撮影 San Mateoの水路にて

 

父母が一緒になって子どもを守っている様子も目にすることができた。例えば天敵が近くにいる場合には親が警戒して大きな声を出したり、片方の親が餌を取りにでかけている間にもう片方の親が子どもたちを見守ってキョロキョロしたりしている様子などである。基本的には背の高い植物の中などに隠れて身を守って夜を過ごしているようだ。またCanada Gooseのヒナは成長が速いことでも知られているようで、確かに気づいたらもうヒヨコではなくなっていたことにも驚いた次第である。


Wikipediaより(USFWS Mountain-Prairie CC-BY2.0)

 

渡り鳥なので季節ごとに住む場所を変えるため、一か所にとどまらない。集団で大空を飛んで移動する様子は圧巻である。

 

 

次は、ある日筆者がSan Mateo市にあるEast Bay(内湾の海)に面した元ゴミの埋立て地を公園したSeals Point Partにて見かけた面白い鳥だ。スズメほどの小柄な黒い鳥であるが、なんとも奇妙な長い鳴き声をしていたので、動画におさめてみた。(クリックすると動画が再生されます。筆者がSan Mateoにて撮影)

 


Red-Winged Blackbirdのオス。Wikipediaより(Own work CC-BY-SA-4.0)

名前はRed-winged Blackbirdでこの鳥も基本的にはアメリカ大陸にのみ(メキシコより北の北米を中心に)生息する鳥である。オスだけが黒いようで、メスはスズメに似たグレーの毛をしている。一羽のオスが10羽以上のメスをめとることも多いらしい。また比較的に獰猛で、ヒトや馬などの大きな動物を攻撃することもあると紹介されている。

 

最後はCalifornia州のClear Lakeにフィールドワークに出かけた際に見かけたPeregrine Falconである。この鳥は日本ではハヤブサと呼ばれている。ハヤブサは世界中に生息しているが、十数種類ほどの多くの亜種があり、それぞれに見た目の特徴が異なるようである。筆者が写真に捉えたのはアメリカハヤブサと言われるもので、猛禽類で主にスズメやハトなどの小さめの鳥を捕獲して食す。飛行速度が速く、世界最速の動物の一つとしても知られている。日本に生息する亜種は希少野生動植物種に指定されていて、世界中で個体数が減少していることが知られている。


Peregrine Falcon(アメリカハヤブサ)、筆者撮影、Clear Lakeにて

 


Wikipediaより(USFWS photo)

 

 

参考資料またはWEBページ

House Finch

https://www.allaboutbirds.org/guide/House_Finch/overview#

https://en.wikipedia.org/wiki/House_finch

 

Acorn Woodpecker

https://www.allaboutbirds.org/guide/Acorn_Woodpecker/overview

https://en.wikipedia.org/wiki/Acorn_woodpecker

 

Canada Goose

https://www.allaboutbirds.org/guide/Canada_Goose/id

https://en.wikipedia.org/wiki/Canada_goose

https://natural-history-journal.blogspot.com/2020/09/californias-great-goose-lineup-canada.html

 

Red-winged Blackbird

https://www.allaboutbirds.org/guide/Red-winged_Blackbird/overview

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Red-winged_blackbird

 

Peregrine Falcon

https://www.allaboutbirds.org/guide/Peregrine_Falcon/overview

https://en.wikipedia.org/wiki/Peregrine_falcon

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山﨑 友紀

大学教授として化学や地球環境論の講義を担当。水熱化学の研究を行いながらサイエンスライターとしても活動中。趣味はクラシックバレエ。