マッチについて学ぶ マッチを作る

リン(原子番号:15 元素記号:P)は私たちの歯や骨を構成する重要な元素でもあり、植物の成長に欠かせない大切な栄養素でもあります。リンには、黄リン(白リン)と赤リンの同素体が存在します。黄リンは空気中で自然発火するだけでなく非常に毒性が強い物質、一方の赤リンは化学的に安定で毒性は少ないといった、異なる性質を持っています。この性質を活かした発明品がマッチです、ガスライターが普及するまでは生活必需品でした。

 

頭薬と呼ばれるマッチ棒の先端は、燃焼剤として硫黄、マツヤニ、ニカワ他、酸化剤としての塩素酸カリウム(KClO3)で構成されています。側薬と呼ばれるマッチ箱側面の茶色い部分は、発火剤として赤リンや硫化アンチモン(Sb2S3)などから出来ています。

マッチ棒の先に頭薬、マッチ箱のこする部分を側薬という

 

マッチ棒を擦ると、側薬の赤リンが摩擦熱によって白リンに変わります。すると、この白リンが発火します。この熱によって頭薬の塩素酸カリウムが燃え、マッチの頭薬が着火するという仕組みです。もちろん、一瞬の反応ですから、赤リン→白リンへの反応は見ることはできません。そしてこのマッチ全体の反応は、

1.4P(赤リン) + 摩擦 → P4(白リン)

2.P4 + 5O2 + 3S + 2KClO3 → 2P2O5 + 3SO2 + 2KCl + 熱

 

赤リンはマッチ箱にあるので、箱の中でマッチ棒どうしが、こすれたりぶつかったりしても発火することはないので、ポケットの中に入れて歩いても燃え出すことはまずないのです。

 

◆発火の原理の実験

危険な実験です。(注意:このブログの実験は当社で実際に行ったものです。同様の実験をする際は必ず専門知識を有する指導者の下で行ってください。)

この実験は危険性を認識してもらうための実験になります。

 

【手順】

①塩素酸カリウムを耳かき一杯ほど鉄板の上に置く。

②赤リンを耳かき1/3程度とり、塩素酸カリウムの上に置く。

③金槌でたたくと大きな音をたてて、爆発します。
かなり大きな爆発音がします。保護具を装着し安全を確保して実験しています。

 

 

 

 

 

 

◆マッチ作りの実験

マッチ作りは危険な実験です。(注意:このブログの実験は当社で実際に行ったものです。同様の実験をする際は必ず専門知識を有する指導者の下で行ってください。)

頭薬をつくる

準備

・乳鉢、乳棒
・ドライヤー
・プラスチック製薬さじ
・薬包紙
・電子天秤
・ピペット等
・試薬 硫黄(助燃剤)、塩素酸カリウム(着火剤)、ガラス粉(摩擦剤)など、指定された通りの量(塩素酸カリウムは危険物1類酸化性固体、硫黄は危険物2類可燃性固体)
・木軸

 

【手順】

①指定された量の薬品を手順通りに入れて乳棒で細かくする。(詳細は記載しておりません)

 

②木工用ボンドを加え、乳棒でよく混ぜる。

 

③木軸に盛り、発砲スチロールに刺してドライヤーで十分に乾燥する。
(時間短縮のためにドライヤーを使用していますが十分に自然乾燥でも問題ありません)

 

④テーブルの上をきれいにする。(テーブルの上に薬品が全く残っていない状態に)

 

 

側薬をつくる

準備

頭薬をつくったテーブルとは別のテーブルで行う。

・薬品 リン粉末、酸化第二鉄、ガラス粉など(リンは危険物2類、可燃性固体)
・厚紙等

 

【手順】

①指定された量の薬品を乳鉢に入れて混ぜ合わせる。(詳細は記載しておりません)

 

②厚紙に薬さじで薄く塗布する。

 

③ドライヤーで十分乾燥する。
(時間短縮のためにドライヤーを使用していますが十分に自然乾燥でも問題ありません)

 

④テーブルの上をきれいにする。(テーブルの上に薬品が全く残っていない状態に)
⑤完成したマッチの頭薬を側薬にこすって火をつける。

 

危険性、注意事項、

・マッチ作りの実験は非常に危険であるため手順通りに進める必要がある。
・塩素酸カリウムは可燃性の物質と混合しないこと。
・塩素酸カリウムはプラスチック製の薬さじを使用する。
・頭薬をつくる机と側薬をつくる机を同じ机にしない。同時につくらない。

ここに掲載されている実験は危険な実験です。同様の実験を行う場合は、法規制情報等を確認して対策し安全を確保する必要があります。

 

 

 

 

【参考文献】

神奈川県立舞岡高等学校 伊福龍哉・山田友久,  マッチをつくる, 化学と教育 42巻4号(1994年

関根正夫・米田昭二郎, マッチと清水誠 1996年

 

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高純度化学研究所 経営推進室

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