軽いだけじゃない!?~リサイクルの優等生、姿を変えるアルミニウム(Al)~

元素記号Al、原子番号13番の元素、アルミニウム。
現代社会で、我々の生活はずいぶんとアルミニウムに頼っているようだ。特に金属アルミニウムは飲食品の容器から自転車・自動車・電車・飛行機に至る乗り物の材料、建築材料とあちらこちらで必要とされている。しかしアルミニウムは天然には金属として存在しない。1807 年、イギリスの化学者デービーが天然に存在するミョウバン(アルム石)から酸化アルミニウムを単離に成功し、そこに含まれる金属をalumiumと呼んだ。ちなみにアルム石は古くからフランスなどヨーロッパで使われているオーガニックなデオドラント「La pierre d’alun(フランス語でミョウバン)」の原料である。アルム石はミョウバンが結晶となった天然の産物で、40℃くらいのお湯で石を濡らして、乾いたワキに2,3度擦り込めば、一日中ワキの臭いが防げるという。日本でもデオクリスタルなどという名称で販売されている。

ミョウバン石(左)KAl3(SO4)2(OH)6と氷晶石Na3AlF6(右)
写真提供協力:「鉱物たちの庭」ホームページ

金属アルミニウムの単離に成功したのは1825年、デンマークのエルステッドである。のちに元素名はその光沢から、光るもの「a lumine」とゴロがあうとして米国の化学会が現名のAluminumを採用したそうだ。現代生活に必須の金属アルミニウムを得るための、アルミ精錬には融剤としての氷晶石が欠かせない。人類による氷晶石の総採掘量は350万トンに及んだといわれている。

現在、日本では金属アルミニウムの原料を新地金またはリサイクルにより賄っている。氷晶石も天然のものがほぼ枯渇してきており、安価に合成される人工氷晶石が使われている。アルミニウムの原料としてリサイクルアルミニウムを使うと、製造に必要なエネルギーが新地金の約3%ですむ。写真は日本の誇る世界最大級のアルミニウム熱圧延機である。

世界最大級(全長400 m、幅4.3 m)のアルミニウム熱圧延機
写真提供協力:株式会社UACJ(UACJコーポレートプロファイルより)

 

実験1:定番!テルミット反応

激しい炎とまばゆい光を放つことで有名なテルミット反応。ダイナミックな化学変化を堪能することができる。


写真提供:公立大学法人 都留文科大学教養学部学校教育学科山田暢司特任教授
http://rakuchem.com/termit.htm

写真のように、酸化鉄(Ⅲ)とアルミニウム粉末の混合物に着火すると、アルミニウムが酸化して酸化鉄を還元して金属鉄が得られる際に、激しい光と熱を発しながら、一気に反応が進行する。還元されて得られた金属鉄は、赤い固まりとなって下に落ちる。灼熱した鉄が下のビーカーにいれてあった水と触れると、しばらく蒸気を発し続ける。

2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2 Fe

実験の手順としては、酸化鉄(Ⅲ)10gとアルミニウム粉末3 gをよく混ぜて2枚重ねにしたろ紙の中に入れ、マッフル炉の中に静置する。ろ紙の中心にマグネシウムリボン約5 cmを立て、周りに硝酸カリウムを少量入れる。

マッフル炉を三脚の上に三角架とともに設置し、下には水または砂の十分に入ったビーカーなどの容器を準備する。水を入れる場合にはビーカーの底に着くようにろ紙かペーパータオルを入れておくと落下する鉄の衝撃によってヒビが入るのを防ぐことができる。あとはマグネシウムリボンに着火するだけ。
できるだけ安全に配慮をし、実験室で実施する際には、周りに粉末が飛び散るのを防ぐために古新聞やベニヤ板を引いておくとよい。

実験2:紫色のお化け?アルミニウムとヨウ素をつかった実験~

アルミニウム粉末1g、ヨウ素1gをそれぞれ乳鉢でよく粉砕して、磁性容器に入れ、スパチュラ等でよく混合する。そこに水を1 mL全体的に滴下して数秒待つと、もやもやと紫色の煙が発生する。
アルミニウム粉末は反応性が高い。金属アルミニウムと水が反応すると、熱が発生し、その熱によってヨウ素が気化して、ヨウ素特有の紫色の煙が出るしくみだ。金属アルミニウムの粒度や乾燥の度合いによっては激しく炎を出すこともあるので、実験はドラフトの中で実施するのがよい。

紫色の煙が発生している様子

【補足】

その他のアルミニウムの実験としては、アルミニウムアマルガムが有名であるが、過去の記事に載せた水銀とアルミニウムを反応させると不思議な物体がニョキニョキ現れるアマルガムの実験をご覧いただきたい。
美しくも猛毒な水銀(Hg)~重いのに俊足な商売の神メルクリウスに由来する元素~

 

参考文献
桜井弘「元素111の新知識(ブルーバックス)」、講談社、1997年
「鉱物たちの庭」684.氷晶石 Cryolite およびミョウバン石 Alunite:
http://www.ne.jp/asahi/lapis/fluorite/gallery10/684cryolite.html
http://www.ne.jp/asahi/lapis/fluorite/gallery/g2fr.html
一般社団法人アルミニウム協会 -アルミニウム統計月報(2018年4月) :
http://www.aluminum.or.jp/basic/index.html
株式会社UACJ Corporate Profile:
https://www.uacj.co.jp/company/profile/pdf/UACJ_CorporateProfile.pdf
World of ALUMINUM アルミニウムの基礎知識:
https://www.uacj.co.jp/aluminum/index.htm

The following two tabs change content below.
山﨑 友紀

山﨑 友紀

大学教授として化学や地球環境論の講義を担当。水熱化学の研究を行いながらサイエンスライターとしても活動中。趣味はクラシックバレエ。