ゴムについて学ぶ ~ゴムの加硫実験~

1806年、イギリスの科学者ジョン・ゴフがゴムと温度の関係を解明。「重りを下げたゴムは加熱すると収縮する」という、世界で初めてゴムの弾性の原因を探究したジョン・ゴフの実験。(ジョン・ゴフは原子説を提唱したことで知られるイギリスの化学者ジョン・ドルトンの先生でした。)一般の物質では、温度を上げると張力は弱くなります。しかし、ゴムの場合は温度が上がると分子の熱運動が活発になることで張力は強くなります。

 

・ジョン・ゴフの実験

下の画像は、ペットボトルをゴムで吊り下げています。左が熱湯をかける前、右は熱湯をかけた後です。右はペットボトルが少し上の位置にあるのがわかります。

 

・一般的な輪ゴムの製造工程

 

 

 

・ゴムの加硫実験

 

(注意:このブログの実験は当社で実際に行ったものです。同様の実験をする際は必ず専門知識を有する指導者の下で行ってください。)

 

実験準備

 

 

 

 

 

 

 

 

手順
① はさみで天然ゴムを3 mm程度に切断する。

 

 

 

 

 

 

② ペトリ皿に①とトルエンを入れる。

③ トルエンが揮発しないように蓋をし、一晩放置させゴムを溶かす。

④ ③に酸化亜鉛、ジペンタメチレンチウラムテチラスフィド、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛を加え割りばしでよくかき混ぜる。

⑤  アルミホイルの上に割りばしを上手く使って④を薄く広げる。

 

 

 

 

 

 

⑥ あらかじめ140℃に加熱しておいたホットプレートの上に⑤を置く。

⑦ 5分間加熱する。(※トルエンが蒸発するので換気に注意!)

 

 

 

 

 

 

⑧ ホットプレートから下ろす。

⑨ 冷えたら、ゴムをくるくる巻くようにしてアルミホイルから取り外す。

 

 

 

 

 

 

⑩ ゴムの伸縮を確認する。

 

 

 

 

 

 

 

ジョン・ゴフの実験は準備に時間をかけずに目に見えてわかるのでわかりやすい実験だと思います。加硫実験は実験の操作は難しくなく、体感できるのでいいと思いますが、材料の入手、事前の準備、トルエンを使用する等があり誰でもすぐ簡単にというわけにはいかない実験です。

 

 

 

【参考文献】

科学技術振興機構(JST)サイエンスチャンネルTHE MAKING (64)輪ゴムができるまで

川口健男,消しゴムをつくる-天然ゴムの加硫-,化学と教育,42巻 4号,p258-259,1994年

 

 

 

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